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2018年度クラスレポート

留学生と創る!!「祇園祭を支える町衆文化読本」制作プロジェクト
(伝統文化継承と地域文化創生の観点から)

Vol.1 2018.8.6

コンセプト

私たちのプロジェクトでは、祇園祭を伝統文化継承と地域創生の観点から考えた読本を留学生とともに創る活動をしています。後にも書いてはありますが、祇園祭が抱える問題を考えることにより留学生の自国の文化や社会問題に生かせるのではないかと考え、これを目的においています。

春学期は、読本を作るために自分たちが知識を取りいれる活動を中心に、留学生を授業に招いて、コミュニケーションを深めたりもしました。
秋学期は、得られた知識をもとに読本(教科書)を作成しながらも、足りない部分や新たに必要になりそうな所は取材を通すなどして、知識を取り入れていく予定です。

読本のコンセプトとしては、ただのガイドブックではない、教科書として使えるものにしたいです。

春学期活動内容

◆プロジェクトの「目的」決め

まず、私たちは今後読本を制作していく過程においての核となる目的決めを行いましたこの目的は全員が納得できる形になるまで、何回も議論を重ねて決定しました。目的を考える過程で、私たちは150年ぶりに復活を遂げた大船鉾さんにお話を聞きに行きました。この取材を通して、祇園祭が自分たちの身近な社会問題と通じているということに気づきました。春学期最も尽力したのがこの目的決めと言っても過言ではありません。決定した目的は以下の通りです。全員が活用していくための大きな土台作りができました。

「読本を通して、留学生が祇園祭の伝統や課題などの多様な観点から主体的に学ぶことで、文化の違いを理解し、日本に対する関心を高めるきっかけとする。そして、この学びを日本や自国の身近な社会問題解決の一助として活用して貰うことで、社会に貢献する。」

この目的を踏まえて、自分たちが読本作成のために必要な活動を以下の三つに分けて行いました。

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◆ツアー

留学生のための祇園祭についての読本を作る上で、留学生とともに実際に祇園祭に足を運ぶことはなくてはならないことです。

山鉾町の方の熱い思いや、祇園祭の歴史や伝統を留学生に肌で感じてもらうこと、そして自分たちも留学生がどう感じるかを側で見て感じ、履修生だけで行っても味わえない、より違った視点から祇園祭に対する理解を深めるのを目的に、祭以外の時期、前祭、後祭の時期と三つに分けて行いました。
祭時期以外の散策と宵山(祭時期)とを比較することにより、祇園祭の壮大さを感じてもらえたと思います。

◆留学生とディスカッション
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本プロジェクトで欠かせない存在となるのは留学生です。そのため、留学生の意見を直接聞ける場として、春学期に留学生とのディスカッションを2回開催しました。
1回目は留学生との交流をメインとしていたため、アイスブレイクのためのゲームを行ってから、日本と留学生の母国の相違点、類似点等に関するディスカッションを行いました。祇園祭に関しては、留学生が祇園祭そのものというよりも、祇園祭に対する私たちの考えのほうに興味があることに驚きました。

2回目は読本制作に直結する内容を議論しました。一昨年と去年の読本を見てもらい実際に留学生が教科書として使用してもらうことを想定してどのような読本を作ってほしいか意見を求めました。
このディスカッションを通じて、他国の文化や留学生の祇園祭に関する考えを知ることができました。

◆祭の関係者への取材

実際に祇園祭に関わっている方たちにお話を聞くことは、祇園祭の詳しい内容を知ることもでき、また祭が抱えている問題も知ることができます。私たちは山鉾町と神輿を行っている方に取材を行いました。留学生がそもそも祇園祭が何なのか知りたいという意見が多く、祭の歴史や成立に関する知識も取材で聞くことができました。様々な方たちの視点からの祇園祭を知ることはとても面白かったです。

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また取材をしていく上で、皆さんに共通する祭に対する意識としてわかったことがあります。それは「祇園祭は神事である」ということです。祇園祭が観光として扱われがちですが、神事であることを読本で強調したいと思いました。一ヶ月の間に行われる全ての行事に意味があることを読本を通じて、留学生に伝えたいです。

今後の活動予定

今後は、「読本班」と「取材班」2つのチームに分かれて本格的に読本を制作していきます。読本制作にかけられる時間はとても短いため、夏休みにも集まって、取材や読本班で活動を行います。読本班では、まず読本の構成を練り、春学期インプットした内容をまとめていきます。取材班はこれに即して取材の足りなかったところなどを補う形で取材をしていきます。どちらの班に関しても、留学生に協力してもらいながら進めていきます。留学生の意見をダイレクトに取り入れた読本を用いて、実際に留学生に向けて私たちが授業を行おうと考えています。

報告者:クラスレポート担当  加藤駿一さん(政策学部2年次生)  中山寧々さん(経済学部2年次生)

Vol.2 2019.2.8

秋学期概要

集合写真

春学期の取材等でインプットした内容をもとにアウトプットをし、留学生の意見をもらいながら読本を制作しました。そして、制作した読本を用いて何度か留学生に模擬授業をおこないました。また今回は例年とは異なる取り組みとして、京都の日本語学校で読本を使用していただくために、プレゼンを行いました。その結果いくつかの日本語学校の授業で読本を使用していただくことが決まりました。

秋学期活動内容

◆祭の関係者、編集プロダクション、文化庁への取材

読本をより良くしていくために、九月の夏休みから十一月にかけて様々な方に取材を行いました。祇園祭と関係している、八坂神社、クラウドファンディング、ごみゼロ大作戦についての取材や、文化庁への取材、そして本を制作するプロである編集プロダクションアリカさんに読本を制作するうえでのポイントをお聞きしました。春学期から、本当に多くの方々に取材に協力していただきました。

◆読本制作

私たちが秋学期最も力を入れて取り組んだのがこの読本制作です。デザイン班、文章班に分かれて読本を制作していきました。デザイン班は文章班が考えたラフ案をもとにインデザインを一から学びレイアウトを作成していきました。文章班は担当ページのラフ案を考え、文章を作成していきました。一通り文章が完成すると、留学生に日本語レベル等を確認してもらうという作業を何度も行いました。また、取材先の方にも何度も文章を確認していただきました。デザイン班、文章班、留学生の方々、取材先の方と何度も話し合いを行い連携を取り合って読本を完成させることができました。

◆模擬授業
模擬授業

実際に完成した読本の一部を使い、留学生に向けて模擬授業を行いました。留学生はとても興味を持って聞いてくれました。読本に施してある工夫の一つである、「ディスカッションコーナー」では留学生がテーマに沿って、楽しそうに議論し、様々な意見を聞くことができました。日本の伝統文化である、祇園祭について少しではありますが、楽しく学んでくれたと思います。授業後にとったアンケートでは、「とても良かった」という意見を多くいただくことができ、こちらとしてもとても達成感を感じられました。祇園祭の歴史からしっかり理解してもらえたことで、日本に対してさらに興味を深めてもらえたかなと思います。また、留学生と一緒にディスカッションができ、交流を深められたのも成果の一つだと感じています。

◆日本語学校へのプレゼン

今年度は前年度までとは異なる取り組みとして京都の日本語学校へ授業で読本を使っていただくためにプレゼンを行いました。京都にある日本語学校の中で自分たちの目的と理念や授業体制がマッチしている学校を選び、授業で使っていただくことで、学生が日本文化に興味を持ち、社会問題について考えるきっかけになってもらえればいいなという結論に至りました。プレゼンした結果、このプロジェクトと読本を高評価していただき、いくつかの日本語学校の実際の授業で使用していただくことが決まりました。

◆編集後記
最優秀賞受賞の様子

この一年間を通して、様々な経験をすることができました。楽しいこともあれば、辛いこと、苦しいことも沢山ありました。それでもプロジェクトのメンバーがいたからここまで来れたと感じています。プロジェクト科目というのは、ただ単にプロジェクト達成だけでなく、それ以外にも得られるものが沢山あります。プロジェクトを進めていく上でいろんな人たちとぶつかることもありましたが、その都度お互いの考えを尊重し、何度も修正してきました。周りの人が何を考えているのか考えられるようになり、自分の態度や思っていることを俯瞰できるようになりました。自分はこのプロジェクトのおかげでこれからの人生に必要なことを学び、成長できたと思っています。また、仲間の大切さを強く実感しました。
読本が完成して、実際に手に取った時の感動は忘れることができません。成果報告会でも最優秀賞をとることができました。祇園祭に関わっている様々な方たちの想い、私たちの想いが、この読本を通じて世界に伝わり、1人でも多くの人がアクションを起こしていただけたらと思います。最後に、長文になりましたが、この読本制作に関わってくださった多くの方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。

報告者:クラスレポート担当  加藤駿一さん(政策学部2年次生)  中山寧々さん(経済学部2年次生)