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2014年度クラスレポート

同大生“GLOCAL”プロジェクト ~国際協力と地域社会貢献

Vol.6 2015.3.18

本科目では、今日における多文化共生社会の在り方を再吟味するとともに、“GLOCAL”な地域づくりを提案するアクションプランの作成を目指してきました。
今回のクラスレポートでは、その全容を振り返りたいと思います。
活動記録
2014年10月科目開講
「多文化共生」に関するイメージを洗い出す (クラスレポートvol.1参照)
ゲストスピーカーによる講義(1) (クラスレポート vol.2参照)
ゲストスピーカーによる講義(2) (クラスレポート vol.3参照)
11月チーム分け (「行政」「地域交流」(各1グループ)「教育」(2グループ))
チームごとにアクションプランの作成(含フィールドワーク・インタビュー調査等)
12月チームごとにアクションプランの作成(含フィールドワーク・インタビュー調査等)
多文化料理教室の開催(教育(2)チーム、クラスレポート vol.5参照)
教職志望者に向けた教育講座(教育(1)チーム)
&アクションプラン模擬プレゼン
2015年 1月アクションプランの完成
京都市国際化推進室、京都市国際交流会館へのプレゼン(行政チーム)
協力団体やボランティア団体対象のセミナー開催(地域交流チーム、クラスレポート vol.4参照)
プロジェクト科目成果発表会
全体の振り返り会
統 括
同大生“GLOCAL”プロジェクト ~国際協力と地域社会貢献_画像1
同大生“GLOCAL”プロジェクト ~国際協力と地域社会貢献_画像2
“GLOCAL”プロジェクトでは、科目前半の期間が主に知識のインプットに充てられ、後半の期間で分野に分かれてアクションプランを作成するというアウトプットに充てられました。前半では、ブレインストーミングを通じて、受講生が日頃抱いている多文化共生のイメージを洗い出したり、ゲストスピーカーの方々のお話を聞くことで当事者の視点から多文化共生社会について考えることができました。後半になると、分野ごとにチーム分けをし、その直後からアクションプランの作成に向けて本格始動しました。実現可能性の高い、より良いアクションプランを目指して、対象課題の設定・学外でのインタビュー調査等をチームごとに進めてきました。この間、全員が集まる講義の時間には、チームの間での情報共有やアドバイスを相互に行いました。
本科目は秋学期のみの開講であったため、春秋連結科目と比べると時間的制約が大きいものでしたが、プロジェクトメンバーが一丸となって多文化共生社会の実現に向けて考えをめぐらせ、最終的には以下のようなアクションプランの作成ができました。これらのアクションプランは、プレゼンテーションの形で団体等への提案をおこないました。

・行政主導による外国人と市民をつなぐSNSの構築(行政チーム)
いつでもどこでも気軽に相談することができ、在住外国人と市民をつなぐ場としてのプラットフォームの役割・機能をもつSNSを構築する

・在住外国人学校と地域との交流 ~地図作りを中心に~(地域交流チーム)
滋賀県東近江市甲津畑に移転したブラジル人学校の生徒と、甲津畑地域に住む住民との交流案を作成する、また、このような現状を知ってもらうためのワークショップを開催する

・教師の卵に向けた教育講座(教育(1)チーム)
教職履修者を対象に、在住外国人生徒の現状を把握してもらうと同時に、ゲストスピーカーのお話やワークショップ(外国籍の生徒がいるクラスを想定したレクリエーションの企画)によって、生徒が抱える課題を認識してもらう

・多文化料理教室(教育(2)チーム)
料理を通じて、日本人・外国人親子の多文化理解を深めるとともに、相互のつながりをつくる機会を提供する


詳細は、成果報告書にも掲載しています。

同大生“GLOCAL”プロジェクト ~国際協力と地域社会貢献_画像3
  
同大生“GLOCAL”プロジェクト ~国際協力と地域社会貢献_画像4
“GLOCAL”とは
成果報告会を前に受講生同士で話し合い、次のように考えました。

GLOCALとは、「地球規模で考えながら、地域で活動すること(Think globally, act locally.)」
その中でも、本科目では多文化共生社会の実現を目指して、各分野に分かれ、どのような“GLOCAL”な取り組みが実践できるか、アクションプランを作成しました。
課題・反省等
・各チーム間の情報共有をより一層深くしておくべきであった。
・アクションプランの内容に関して、どの機関や団体と連携したほうが良いのかをよく吟味するべきであった。
・アクションプランの実現可能性や継続性、有益性をもっと考慮すべきであった。 等
まとめ
本科目は、プロジェクト科目という特性を活かして、学内だけの活動にとどまらず、学外においてインタビューやアクションプランのプレゼンを行うなど、社会との接点を持ちながら活動をしてきました。これにより、基本的な社会的マナーやイベント企画の方法と実践など、多くのことを学べました。また、議論が煮詰まったり、うまくいかないことがあったりしたときは、科目代表・担当の先生方やSAの方、プロジェクト科目事務局の方々のサポートのおかげで、それらを乗り越えていくことができました。

プロジェクト科目自体は今学期で終了してしまいますが、今後も、「多文化共生社会の実現」という大きな目標を持って、各自が“GLOCAL”な取り組みをしていきたいと思います。これを今ご覧になっている方々にも、多文化共生への理解が少しでも進んでいただけると幸いです。

ありがとうございました。

同大生“GLOCAL”プロジェクト ~国際協力と地域社会貢献_画像5


報告者:CNS担当 吉田 佑樹さん(政策学部2年次生)

Vol.5 2015.3.17

同大生“GLOCAL”プロジェクト ~国際協力と地域社会貢献_画像1
前回に引き続き、今回のクラスレポートでも、本科目において実際に策定したアクションプランの内容をご紹介します。
以下では、料理教室を通じた多文化理解の促進をアクションプランとして提案した「教育(2)」のチームを取り上げます。
このチームは、実際に多文化料理教室の開催もしています。課題の発見、料理教室の開催からアクションプランを作成するに至るまで、ぜひ下記のPDFファイルをご覧ください。
教育2班の活動報告書[PDF 218KB] 

報告者:CNS担当 吉田 佑樹さん(政策学部2年次生)

Vol.4 2015.2.11

同大生“GLOCAL”プロジェクト ~国際協力と地域社会貢献_画像1
今回のクラスレポートでは、本プロジェクトにおいて実際に策定したアクションプランの内容をご紹介します。行政、地域交流(各1チーム)、教育(2チーム)の分野に分かれて作成したアクションプランですが、以下では「地域交流」のチームを取り上げます。
果たして、どの地域を対象とし、どのような課題を発見し、その後アクションプランを作成したのか、ぜひ下記のPDFファイルをご覧ください。
地域交流班の活動報告[PDF 495KB] 

報告者:CNS担当 吉田 佑樹さん(政策学部2年次生)

Vol.3 2015.1.9

今回の講義では、高校で在住外国人の生徒に対して日本語教育をされた経験がおありの滋賀県立大津清陵高等学校馬場分校の左近健一郎先生と、馬場分校卒業生の京都外国語大学3年次生 宮原レオンさんにお越しいただき、お話を伺うことができました。
新渡日外国人生徒の教育支援と日本語教育の取り組み(左近先生)
左近先生は、1990年~92年、青年海外協力隊の理数科教師としてネパールに派遣された経験をお持ちです。帰国後の1993年から現在に至るまで、滋賀県立大津清陵高校馬場分校にて教員をされています。
【滋賀県立大津清陵高校馬場分校について】
  • 単位制夜間高校(卒業に必要な総単位数は74単位)
  • 滋賀県には、工場が多いため、新渡日外国人(ニューカマー)の生徒が多いという特徴があります(全国で9位、近畿で3位)。馬場分校に在籍している生徒の約5人に1人が外国人で、年々増加傾向にあります。外国の生徒の中では特に、ブラジルやペルー出身の方々が多いそうです。
同大生“GLOCAL”プロジェクト ~国際協力と地域社会貢献_画像1

左近健一郎先生(写真左)

【「高校入試」の壁(新渡日外国人生徒)】
来日後、外国人の生徒は、ふつう日本の学校に通うことになりますが、その際に小・中学校は日本語ができなくてもサポートをしてくれる場合が多いそうです。もちろん、担当の先生や学校にもよりますが、通常の別枠として日本語を学ぶ環境を作ってくれたり、理科や社会は個別に指導してくれたりするケースもあるとのことです。しかし、小・中学校を卒業後、高校に進学したい外国人生徒にとって「高校入試」は大きな壁となります。
現在のところ、高校入試配慮事項は各県で異なり、例えば、滋賀県では入試特別配慮として別室での受験を認め、試験の問題文にルビが振ってあったり、試験時間10分延長や辞書持ち込みが認められたりしています。しかしながら、日本語に関する配慮事項があったとしても、日本語が読めない外国人生徒は結局のところ不合格となってしまうという現実があります。大阪府や兵庫県のように、高校入試においては外国籍生徒の受け入れ枠が必要ではないかと、左近先生はおっしゃっています。

【馬場分校「日本語」授業】
滋賀県の高校では、もともと「日本語」の授業がなく、馬場分校においては年7~8回の「日本語教室」の開講という形で外国人生徒の言語面をサポートされていました。2005年からは、抜き出し授業(正規の授業を欠席して別枠の授業を受けること)として「日本語支援教室」が開講されました。その後、2008年より正規科目の「日本語」が授業として開講されました。外国人生徒の日本語の習熟度は、来日後の経過年数等でかなりの差がみられるため、できるだけ生徒の日本語力に配慮しながら1対1の日本語授業ができるようにされています。授業アンケートによると、生徒は日本語の授業に対してポジティブな印象を持っているそうです。しかし、日本語も母国語もどちらも習得できておらず、自分の母語がどちらなのかわからない、またどちらの言葉もうまく話せないという、いわゆる「ダブル・リミテッド」の課題を抱えている生徒がいるのも事実です。そういった生徒に対しては、生徒の卒業後の進路に合わせ、例えば高校卒業後も日本で生活していくつもりであれば日本語の学習を頑張るように促しているということでした。
宮原レオンさんのお話
【来日直後~】
レオンさんは、2007年、当時14歳で両親と弟に次いでブラジルから来日されました。来日当初は日本語が嫌いで勉強するつもりもなかったと言います。その頃は、日本で働いてお金を貯め、ブラジルへ帰国するつもりだったそうです。しかし、14歳という年齢上働くことができず、また日本語を勉強することもできず、家で過ごしていました。そんな頃、唯一の楽しみといえば、土曜日に家の近所に住むペルー人の友人とサッカーをすることでした。「早くサッカーがしたい!」と考えながら過ごす日々であったそうです。一方、早くから日本に来ていたレオンさんの弟さんは、日本語を話せたため、羨ましく感じていた面もありました。その後、両親の勧めで公立の中学校へ通うことになります。「いじめられるのではないか」という不安もあったそうですが、良い友人や先生に恵まれ、中学校では日本語も上達したそうです。中学校卒業を控えた進路選択の際、中学校の先生からは専門学校も勧められたそうですが、勉強を続けたい想いがあったため、滋賀県立大津清陵高校馬場分校への進学を決めました。
【馬場分校へ入学~現在まで】
2008年、レオンさんは滋賀県立大津清陵高校馬場分校に入学されます。昼間はアルバイトに励み、夜に学校生活を送る毎日でした。入学1年目は、他の外国人生徒らと仲良くしていたため、日本語があまり伸びなかったと言います。部活動はサッカー部に所属されていましたが、のちに陸上部へ転部され、陸上部では日本人の友人ができたため、日本語が上達していきました。陸上の成績も優秀な成績を修め、全国3位で表彰されることもありました。
同大生“GLOCAL”プロジェクト ~国際協力と地域社会貢献_画像2

宮原レオンさん(写真右)

馬場分校卒業まで半年を残した頃、卒業後の進路を大学進学に決定されました。海外帰国特別入試(小論文+面接)を受験された結果、大学に合格されたとのことです。そして馬場分校卒業後の2012年、京都外国語大学外国語学部に入学されました。今では、大学で英語も学んでいるため、日本語と英語の学習バランスが悪くなっているとおっしゃっていました。
さて、2週に亘ってゲストスピーカーの方から在住外国人の方々の現状についてお聞きしました。言葉の壁、制度の壁、文化の壁・・・実際に起きていること、体感したことをお話しいただいたおかげで、いろいろな課題を現実のものとして捉えることができました。どのような課題に対して、いかなるアプローチをしていくのか、考える材料をたくさん提供していただきました。

次週からはいよいよアクションプランの作成に入ります。このプロジェクト科目では、「行政」「地域交流」(各1グループ)「教育」(2グループ)の各分野にそれぞれ分かれ、多文化共生社会の実現に向けた取り組みを考えます。大学内だけにとどまらず、実際にフィールド調査やインタビューに赴き、実現可能性の高い、リアルなアクションプランを作成できるよう、各グループが取り組んでいく予定です。

さあ、1月の成果報告会ではどのようなアクションプランの発表があるのでしょうか!?

報告者:CNS担当 吉田 佑樹さん(政策学部2年次生)

Vol.2 2014.11.27

今回はゲストスピーカーとして、公益財団法人兵庫県国際交流協会から遊川章宏さんをお招きし、お仕事として在住外国人の方々と日々接していらっしゃる経験から、様々なお話を伺うことができました。
国際協力活動体験と帰国後の国内における社会貢献(多文化共生の地域づくりについて)
遊川さんは、自身の国際協力活動や外国での体験を通して感じたことを地元で生かしたいという思いから、現在は兵庫県国際交流協会の外国人県民インフォメーションセンターでスペイン語相談員として活躍されています。
同大生“GLOCAL”プロジェクト ~国際協力と地域社会貢献
【「外国人」として海外で生活をする】
ブラジルでの日系社会青年ボランティア(JICAボランティア)終了後、コロンビアに向かった遊川さん。自分が「外国人」として生活する中で、情報弱者としての自分に気づかされました。保険、法律のことなどを、どこに聞いたらいいのかわからない、何もできない。この実体験を通して、在住外国人の方に対してより客観的、俯瞰的な視点を持てるようになったと言います。
【外国人県民インフォメーションセンター】
遊川さんが勤務されている、兵庫県国際交流協会の外国人県民インフォメーションセンターでは、英語、中国語、スペイン語、ポルトガル語の4か国語に対応し、電話や来訪で在住外国人の方々の相談を受け付けています。相談内容は多種多様で、日常の暮らしに関わることから、最近では特にインターネット関連の相談が増えているそうです。
遊川さんは、相談窓口では「聞くこと」、「適切な情報提供」、「他機関との連携」が必要だと言います。相談員は、相談者の話を傾聴することが大切な心構えで、相談者の問題や知りたいことをうまく汲み取って、それに応じた解決策や情報を提供しなければなりません。相談員が通訳として専門家と相談者の間に入る場合、『こう言いたいのかな、こうだろう』と勝手に解釈して訳したり、くどい言い回しにならないように訳を省いたりしてはならないとされています。また、相談内容が複合的・専門的な場合には、適切な機関への橋渡しをするために、相談員もどの内容をどこに相談すればよいか、ある程度専門的な知識を有しておく必要があるのです。
外国人県民インフォメーションセンターは、1995年の阪神淡路大震災を受けて、情報弱者になりがちな外国人の間で口コミにより広がった経緯があり、現在では兵庫県に限らず、近隣の都市からの相談も受けているということでした。
在住外国人の置かれている現状
兵庫県には約10万人の在住外国人の方が生活を送っており、その約半数は韓国・朝鮮籍の方々です。遊川さんによると、在住外国人の中には、経済的な負担や時間の制約の関係で、満足に日本語を教わることができない環境にある方々もいらっしゃるとのことです。また、在住外国人の方の中には必ずしも自らの意思で日本に来たという人ばかりではなく、子どもの頃に親から連れられて来日するなど、むしろ日本に「来てしまった」という人も多くいらっしゃるということでした。

【日本に住む外国人の子どもたちのビデオ】
講義の中で、在住外国人の暮らしに焦点を当てたビデオを鑑賞しました。親は日本語を話せず、母国語しか話せない一方で、子ども自身は親の母国語がよくわからなかったり、言葉や気持ちが通じなくて悲しくなったりするという親子のコミュニケーションに関することや、親が母国の文化や言語を誇りに思い、子どもにも大切にしてほしいと願う反面、子どもは将来日本で暮らすことを考えており、自分自身を日本人だと認識する、親子の考えのちがいに関することが取り上げられていました。
一体自分はどこの国の人なのか、自分のアイデンティティとは・・・。在住外国人の子どもたちが抱える課題が浮き彫りになりました。
多文化共生とは
最近よく耳にする、「国際~」とは、英語であったり、「日本」と「相手国」といった二国間であったり、限定された形で語られることが多いのでは、と遊川さんは考えられています。また、「グローバル~」は国境を越えて地球を一つの大きな単位としてみることが字義ですが、すべてを同一・単一の価値観で見る向きが強いように感じられるとのことです。

これらを踏まえて、「多文化共生」とは以下のことであるとお話されました。

○違うものを、形をほとんど変えることなくそのまま受入れ、それでいて違和感のない状態
 例えて言うならば、日本の家庭の食卓
 -味噌汁(日本)、餃子(中国)、カレー(インド)・・・
○多様な価値観を認め、共生する方法を考えていくこと
 -今や在住外国人を目にする機会は、普段の生活の中で頻繁にある
  そのような状態で、彼らを日本社会に同化させる手段だけでなく、
  違いや異なる価値観を認めて共生する方法を考えていくのがこれからの課題ではないか

実際にお仕事を通じて在住外国人の方々の生活を支援されている遊川さんからは大変貴重なお話をお伺いすることができました。今後、アクションプランを作成するうえで、今回お聞きした在住外国人の方々の現状を盛り込みながら、具体的な内容を考えていくことができそうです。

次回は、滋賀県立大津清陵高校馬場分校にて在住外国人の生徒と関わりのある先生、また、その学校の卒業生の方を講師にお招きし、お話を伺います。

報告者:CNS担当 吉田 佑樹さん(政策学部2年次生)

Vol.1 2014.10.29

「グローバル」と聞くと、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか。昨今では「グローバル」という言葉を、様々な機会で目にし、耳にします。グローバルといえば、今まで以上に世界の国々との経済的依存度が高まり、海外旅行や留学のチャンスが増え、ますます人々との交流が深まること、もしくは、輸入食材の数も種類も増え、日本にいながらいろいろな国の食べ物を口にできること・・・、こんなイメージをお持ちの方も多いと思いますが、果たしてそれだけでしょうか。

このプロジェクト科目は秋学期開講科目で、グローバル化している現代において、単に外国に視点を移すだけではなく、日本に住んでいる在住外国人の方々をテーマに取り上げます。地域に暮らす在住外国人の方々の現状と課題を、普段からお仕事として在住外国人と接していらっしゃる方を講師にお招きして話を伺ったり、実際にグループに分かれてフィールド調査に向かったりするなど、幅広い視点で探り、深め、今日における多文化共生社会の再吟味と在り方について学びを進めていきます。そして最終的には、GLOBAL+LOCAL=“GLOCAL”な地域づくりを提案するアクションプランの作成を行うことを目標としています。
■まずはイメージを探ることから
10月10日(金)第2回目の授業は、4人グループ、5人グループに分かれ、ブレインストーミングを行いました。
同大生“GLOCAL”プロジェクト ~国際協力と地域社会貢献画像1
同大生“GLOCAL”プロジェクト ~国際協力と地域社会貢献画像2
同大生“GLOCAL”プロジェクト ~国際協力と地域社会貢献画像3
(1)私たちの暮らしの中で“グローバル化している” “国際的”“多文化”だと思うこと
  • 外国の人、外国のものに触れる機会が多いこと 。スーパーやバス停で見かける外国人、留学制度の増加、多国籍なイベント(クリスマス・ハロウィン等)や料理など
  • SNSやLCCの普及により、ボーダレスな社会になってきていること

(2)グローバル化、国際化していると思う・感じる現状で、違和感や疑問に思うこと
  • 日本全体ではグローバルと言えないのではないか
  • 外国人はみんな英語しか話さないというステレオタイプ、違うことへのバリア意識、外国人への苦手意識
  • 日本人と在住外国人の権利に違いがあるのではないか
  • 今の中学校や高校の英語教育ではスピーキング力やリスニング力がつかず、コミュニケーションが取れない

(3)グローバルとローカル、それぞれの人・地域・暮らしとはどんなものか
  • グローバル:様々な言語・文化との物理的なかかわりがある地域、くらし、人。積極的にかかわりを持て、多文化を受け入れる
  • ローカル:地産地消、狭く深い視野で生きている人が多く、行動範囲が狭い

(4)同志社大学の学生、私たち個人はそれぞれグローバルか、ローカルか
  • 大学はグローバル化してきているが学生はそれについていけていない
  • 二極化、海外に意識が向いている人と、向いていない人の差が大きい(年齢による意識の差もある)
(5)京都、関西の在日外国人について
(どの程度知っているか、彼らはどんな問題を抱えていそうか、彼らと共に過ごすことへのメリット・デメリットは何か)
  • そもそも知る機会が少ない、少し他人事のように考えていた
  • 言葉が通じなくて困るのではないか(病院、薬局、娯楽)
  • 日本人の習慣や、マナーがわからなくて問題を抱えそう
  • 制度作りのためのコストがかかる反面、いろいろなアイデアが生まれそう

(6)グローカルな地域にしたいと思った時に、どんな地域、暮らしになればよいか
  • 違いを違いとしてみない社会、色々な文化などを自ら学ぼうとする意識、動き
  • 在住外国人が積極的に参加しやすい地域づくり、イベント開催をして、触れ合う機会を作る
  • 街コン、自分の好きな事を行う中に外国人との交流を自然に追加できるような企画

などなど、様々な考えが出されました。ブレインストーミングによって各自が抱いていた、「グローバル」「ローカル」「在住外国人」「グローカル」の考えについて整理・共有することができました。
これから具体的に、“GLOCAL”な地域づくり、多文化共生社会の実現に向けてアクションプランの作成に取り組みます。アクションプラン作成後には、現時点での「グローバル」「ローカル」・・・に対する考えがどのように変化しているのでしょう。在住外国人の方々について、まずは知ることから。次回からは2週にわたってゲストスピーカーをお招きし、在住外国人の方々に対する理解を深めます。

同大生“GLOCAL”プロジェクト ~国際協力と地域社会貢献画像4


報告者:CNS担当 吉田 佑樹さん(政策学部2年次生)