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2014年度クラスレポート

長刀鉾 -祭りを支える人々-

Vol.1 2014.9.3

長刀鉾 -祭りを支える人々-画像1
長刀鉾 -祭りを支える人々-画像2
(1) プロジェクトの概要
毎年7月に京都で行われる祇園祭。中でも有名な長刀鉾は、7月17日の山鉾巡行の先頭を行くくじ取らずの鉾であり、唯一生身の稚児が乗る鉾である。また、祇園祭最大の行事ともいうべき結界を解き放ち、山鉾が人間の領域から神の領域に入るという神事しめ縄切りを行う鉾であり、いわば祇園祭の主役を演じる鉾だ。しかし長刀鉾にまつわる行事や稚児については書籍などで取り上げられているが、非常に多くの役割を持つ人々が関わっていることはあまり注目されていない。長刀鉾には4名の稚児係がおり、稚児が舞う太平の舞の伝授、しめ縄切りや拝礼の作法の指導から裏方の弁当の手配まで行う。さらに長刀鉾の運営には、長刀鉾保存協会の方々、囃子方、建方、車方、屋根方、音頭方、鉾蔵資材方、営繕係、化粧係、他多くの裏方たちが携わっている。私達は、そうした方々から長刀鉾にかかわる様々な出来事や言い伝えなどを聞き、京都文化の伝承のためにも残しておく必要があるのではと考えた。そこで、長刀鉾に奉仕されている方々に焦点を当ててインタビューを行い、それらをまとめた記録本の作成を行うこととなった。
(2) スケジュール
4月 祇園祭、長刀鉾の研究
祇園祭の役割や山鉾について調べ、長刀鉾の理解を深めた。

5月 ゲストスピーカーによる講演
長年祇園祭や長刀鉾に携わっていらっしゃる方々から、書籍などでは知り得ない細かい部分についての情報を得た。

6月 質問事項の練り直し・八坂神社訪問
ゲストスピーカーの方々から得た情報を整理し、今後のインタビューでの質問内容を検討。また、祇園祭は八坂神社の祭礼であるため、月末には八坂神社を訪問し、神主の方から直接祇園祭についての話を伺った。

7月 インタビュー開始
祇園祭は7月1日から1か月間にわたって行われる長い祭である。様々な行事が行われるようになると、グループごとで現地に足を運び、写真を撮影して記録に残した。長刀鉾の曳き初めが行われた7月12日から、いよいよ役職に就いている方々にインタビューを開始。

8~9月 記事執筆、レイアウト、冊子の完成
夏休み中にそれぞれ担当の記事を執筆し、互いに校正しあった。9月下旬に記録本完成。
(3) プロジェクトを通じて
このプロジェクトで祇園祭や長刀鉾について精通することができた。取材だけでなく、他にもいろいろな貴重な経験ができた。歴史的価値のあるお囃子の楽譜を見せてもらったり、以前稚児の祖父役をされていた科目担当者の鈴木先生から長刀鉾の紋が入った扇子や浴衣をお借りして着てみたり、普段経験できない貴重な時間を過ごすことができた。これまでと違った視点で祇園祭を楽しめるようになり、京都の文化をより理解できる機会になったのではと考えている。
また、このプロジェクトで私たちは「どのような思いを持って長刀鉾に関わっているか」について聞くことを目標に、下調べやインタビューを行ってきた。車方、音頭方、建方、屋根方、囃子方、稚児係など表からは見える役職はもちろん、裏で活躍している資材方、化粧方等の方々のお話も伺った。印象的だったのは、どの役職の方々もおっしゃっていた「変えることは簡単。変えないことが肝要」という言葉。この点に私たちは携わる人々の長刀鉾や祇園祭に対する熱意を感じ取った。この思いが後世まで伝わり、伝統の重みを考えていくきっかけとなることを願っている。

報告者:CNS担当 西井 理紗さん(文学部3年次生)